前回に続いて、サンワサプライのワットモニターを使って、遊んでいきます。
今回は、どの家庭にも複数台はある充電器(ACアダプター)を使って、消費電力を実測します。
充電器の待機電力を計測
充電器の類にも待機電力があります。
ACアダプターやUSB充電器などは、回路の特性から、負荷となる機器が繋がっていない状態でも、待機電力が発生してしまいます。
一般的には、0.05W前後。アダプター単体では、消費電力が小さすぎてワットモニターでは計測できません。なので、他の機器と一緒に計測することで、この小さな消費電力を見える化します。
用意したのは、デスクスタンド(待機電力:0.3W)と、普段使っているUSB充電器2台と、シェーバー用のACアダプター。
充電器とACアダプターの仕様は以下のようになっています。
出力 | 用途 | エネルギー効率基準 | |
USB充電器(エレコム製) | 5V 2.4A | スマートフォン充電用 | マークなし |
USB充電器(レノボ製) | 5V 2A | Chromebook充電用 | Ⅵ |
ACアダプター(ブラウン製) | 12V 400mA | シェーバー充電用 | Ⅵ |
延長コードにデスクスタンドを繋いで、0.3Wの待機電力を表示させた状態で、USB充電器やACアダプターを繋いで、増加幅から待機電力を計測していきます。
全て実推値になってしまいますが、
エレコムのUSB充電器が0.1W、レノボのUSB充電器が0.05W、ブラウンのACアダプターが0.05W
となりました。
USB充電器は、コンセントに差し放しにすることが、多かったので、毎回、抜くことにしました。
これで、年間0.9kWhの節電です。
金額換算すると、がっかりする金額になるので、止めておきます。
地球上に住む全ての生物のために、私は節電に取り組んでいるので。
エネルギー効率基準って何?
米国エネルギー省が定める、エネルギー効率基準です。
ACアダプターには、色々なマークが書かれていますが、丸にローマ数字のⅤやⅥが書かれています。
米国国内の基準ではありますが、グローバル企業のACアダプターには、だいたいマークが付いていると思って良いです。
では、ⅤやⅥの意味は。
待機電力と平均効率の2つのレベルで、カテゴライズされています。数字が大きいほど省エネ製品です。
米国では、ⅥのレベルのACアダプターを求められるので、最近のACアダプターは、レベルⅥをクリアしているようです。
レベルⅥとは、 (10W出力を持つAC-DCアダプターの場合)
待機電力は、0.1W以下
平均効率は、78.7%以上
の基準をクリアすることが求められます。
平均効率について解説します。
AC(交流)をDC(直流)に変換する際に、エネルギーのロスが発生します。理想は、等価交換なのですが、熱など別のものになってしまうので、8割程度しか直流電気になりません。
特性として、出力ワット数が大きいほど平均効率が良くなります。
Chromebookを充電。消費電力の変化と積算電力量を実測
lenovo製Chromebookの充電コストが知りたくて、ワットモニターで実測することにしました。
実は、我が家では、昨年より深夜時間帯の電気消費量が増えています。この一年間で増えたといえば、このChromebookの充電くらい。
どうせ、1円にも満たないだろうと予測しつつも、実測。
ワットモニターは、1秒ごとに消費電力を計測できるので、積算値だけでなく、消費電力の変化も確認していきます。
最初に言っておきます。「驚きの結果でした」
Chromebookの仕様から
正式な製品名は、lenovo IdeaPad Duet Chromebook。
取扱説明書には、以下のように書かれています。
充電時間は、power off時で約4時間。
消費電力は、10W。
使用しているのは、2セル リチウムイオンポリマーバッテリー。
バッテリーインジケーターがUSB端子の横にあり、
レッドが低バッテリー、ブルーが充電中、グリーンが満充電
を示します。
実測開始
Chromebookのバッテリー残量が8%になったところで、power off。
バッテリーインジケーターは、レッドです。
使用するUSB充電器は、lenovoの純正品です。
充電を開始すると、ブルーのランプが点灯し、12.4Wの消費電力が発生し始めます。
取扱説明書には、消費電力10Wと書かれているのですが、12.4Wです。なぜ?
1時間経過、12.4Wの消費電力が続いています。
2時間経過、12.4Wの消費電力のままです。電卓を叩くと満充電になるのは、3時間40分経過したあたり。
変化があったのは、2時間15分経過したところ。消費電力の減少が始まります。
最初は、5分ごとに1W減少するペース、次は5分で0.4W減にペースダウン。
3時間5分経過、消費電力が3.7Wを示していますが、満充電を示すグリーンのランプが点灯。
満充電なのに、電力消費が続きます。なぜ?
5分で0.3W、5分で0.2W、5分で0.1W、やがて10分で0.1W減と緩やかな減少になっていきます。
4時間50分経過した時、消費電力は0.8W。
5時間経過、ついに、その時がやってきました。
0.8Wを表示するワットモニター。下げ止まったと思った瞬間、ゼロ表示に。
その後は、ゼロと0.3Wの表示を繰り返します。
無負荷状態時の、待機電力とは違うパターンでの、消費電力が発生しています。
実測結果まとめ
バッテリーインジケーターを信じるならば、満充電になったのは3時間5分後。
この時の、積算電力量は、0.03kWh。電気代換算で0.8円。
消費電力から見た、充電終了は、5時間後。どういうことなのでしょうか。
ちなみに、5時間経過後の積算電力量も0.03kWhで変わらず。
消費電力が少な過ぎで、カウントアップしませんでした。
積算電力を、5分~10分間隔で測定した値で、近似的に求めることにした。
結果は、
グリーンのランプが付いた時点の、積算電力量は、0.034kWh。
グリーンのランプから、消費電力がゼロになるまでが、0.003kWh。
満充電のランプが点灯してから、更に8%の電気を追加したことになります。
消費電力10Wで、実消費電力が12.4Wだったのは、
ACアダプターの出力(5V 2A)から、10Wとしているのでしょう。
USB側の電圧と電流は実測していませんが、最大値(10W)を出していたとし、計算してみると、効率は80.6%となりました。
納得できないので、追試をした
追試では、充電率が10%まで減少したところで、充電を開始。
グリーンランプが点灯した時点で、充電器を外します。
充電開始から2時間58分後に、満充電を示すグリーンのランプが点灯。
Chromebookを起動し、バッテリー残量をチェックします。
起動直後は、100%の表示。1分ほどで99%の表示となりました。
少なくなるのが、やや早い気がしますが、どうなんでしょう。
一体、8%余計に消費した電力は、どこに消えたのでしょうか。
理由が分からないので、
一晩中、充電し続けることは止めることにしました。
シェーバーを充電。消費電力の変化と積算電力量を実測
ブラウンの310Sという機種です。
使用している充電池は、ニッケル水素電池。1時間で充電できることを売りにしています。
電池の違いで、充電中の消費電力に、何か特徴が出るのでしょうか。
ブラウンの310Sの仕様
取扱説明書から抜き出しました。
消費電力:7W
ACアダプターの最大出力:12V 400mA (4.8W W数は筆者追記)
実測する前から、不思議なことが
消費電力7Wは、どこの数字なのでしょうか。
レノボと違って、AC入力側で計測した消費電力かなと思いましたが、変換効率を計算すると、68.5%。おや?、何かオカシイ。レベルⅥをクリアできる数字ではありません。
出力4.8Wなら、レベルⅥの変換効率は、73.3%以上必要です。
アダプターにも、7Wと書かれているので、このアダプターの最大消費電力は7Wらしいのですが。
謎は謎のまま、実測に向かいます。
実測開始
バッテリー切れで、完全に停止した状態のものに充電していきます。
充電スタート直後は、4.5Wをしてしていましたが、ゆっくり時間をかけて上昇しています。
充電開始から26分後、4.7Wまで上がっています。
その瞬間は、突然やってきます。
充電開始から27分、消費電力がゼロに落ちると同時に、満充電のランプが点灯。
積算電力量は、数字が少な過ぎで計測不能です。
分かり易い、消費電力の推移だったので、計算で求めます。
積算電力量は、2.07Wh。桁違いな少なさです。
これで、1週間充電なしで済むのは、嬉しい限り。
あまりにも嬉しいので、年間で電気代を計算してみます。
年で計算しても、電気代は2円84銭。
充電池のタイプによって、充電制御も違う
見ての通り、リチウムイオン電池とニッケル水素電池では、充電の仕方が全く違います。
電気という見えない世界を、ワットモニターが明らかにしてくれました。
次回予告
次回は、季節家電(扇風機、ガスファンヒーター、布団乾燥機)の待機電力や消費電力の測定を予定しています。
並行して、充電器系の第二弾も進行中です。充電器系の第二弾では、満充電が2つある謎も解き明かします。更に、深い闇に落ちていく内容にご期待ください。