相続した実家を売却してみた

経緯と売却する不動産の概要

親が亡くなり、空き家になった実家を相続しました。
実家があったのは、私の自宅から2時間ほど。東京の郊外であるY市の北向き斜面に作られた分譲地です。
築50年の木造住宅と120㎡の土地が相続の対象になりました。
この土地を買った昭和43年は、普通のサラリーマンが土地付きの家を持とうとすれば、東京の端で山の斜面か、千葉の平地かという選択肢だったと思います。

私自身、結婚で家を出て既に30年近い年月が経ちました。その間にマイホームも持ったこともあり、実家を相続しましたが、そこに住む気はまったくありません。

そんなことで、不動産を売却して現金化することを決断しました。

不動産仲介業者を探す

Y市に強い不動産仲介会社を知らないどころか、不動産の売却は初めての経験です。

不動産一括査定サイトの利用は楽

まずは、不動産の一括査定ができるサイトを利用することにします。
利用するにあたって、大手不動産仲介業者にするのか、地域密着の不動産仲介業者にするのか決める必要があります。

一括査定とは言うものの、その不動産仲介会社が買ってくれる訳ではありません。
査定は、これくらいの価格なら買い手が現れるという目安だけです。

ならば、会社より営業マンの資質で選ぶことにしようと考えました。
そのため、大手不動産仲介業者から選択することにし、「すまいValue」のサイトを使うことにしました。

必要事項を入力し、しばらく待つと電話が掛かってきます。
結局3社から電話を頂き、アポイントを取ります。

営業マン選びは楽しい

面白いことに、A社は若手のやる気満々タイプ、B社は中堅の切れ者タイプ、C社はシニア社員で適当にサボりそうなタイプですが知識は豊富と三者三様。

悩んで契約したのは、C社の営業マン。
A社のやる気満々くんは、いきなり仲介手数料を値引くと言ってきたのでボツ。頼んでもいない値引きを口にするようではダメです。
B社の切れ者くんも魅力的だったのですが、こちらの話を聞かずに自分の意見で走るタイプに見えます。自信満々が裏目に出そうな予感がしました。

C社の営業マンにはA社から提示された仲介手数料の値引きを契約条件に伝えます。

査定額と相場は違う

ちなみに、出てきた査定額は3社同額の1,980万円(古家あり)。
更地にするのに200~250万円だそうです。
この値段で売れるか聞くと、B社、C社ともに「売れない」と言います。
最近の販売実績では1,500~1,700万円とか。査定とは何なんだって感じ。
1,500万円はB社が知っている建売業者に買い取らせた場合。1,700万円はC社が近隣の角地を売った時の価格なので今回はそこまでいかないと厳しい現状が知らされます。
更に山の斜面にある分譲地の人気が落ちている厳しい状況まで言われます。

希望売却価格を決めて不動産仲介業者と契約する

売却にあたり、私は2つのことを決めていました。

買い手がいつまでも現れず空き家を放置するのは困るので、
「安めの価格を最初から提示する、但し、値引きは最小限に抑える」

最終的な手取り額が一番多くなるようにする、その手段として
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を使って譲渡所得税を抑える

こうして、不動産仲介会社の担当者に「更地渡しで1,890万円」の価格で売却を依頼しました。周辺の取引価格からみても、お得感は充分。

買い手が現れるのを待つ

不動産仲介業者が、自社のホームページに物件の掲載をしたり、業界向けの物件情報サイト(レインズ)に登録を開始します。同時に現地にも「売地」の看板が立ちました。

週単位で、物件情報へのアクセス数や問い合わせの報告が来ます。
1週目はゼロ、2週目は報告がきません。早くも嫌な予感がし始めた時です。
担当者から電話があり、有力な買い手が現れて最終交渉中だと言います。

数日後、交渉が纏まって契約に進むと連絡がありました。
あまりの急展開に私だけでなく担当者もビックリの展開です。
最終交渉では「値下げ」の打診があったそうですが、お得物件ということで「値下げ無し」で交渉が纏まりました。この担当者を選んで大正解と思った瞬間です。

担当者から、契約日時と場所(不動産仲介会社の事務所)、当日の持ち物の連絡をいただき準備します。

不用品を処分する

古家の解体工事をする前に、家の中にある不用品を処分する必要がありました。
実は、売却する以前から、時間を見ては片付けに行っていたのですが、半分ほど処分したところで心が折れました。45リットルのゴミ袋で100袋以上は捨てたと思います。それでも半分。Y市に住んでいる訳ではないので、車で行って載せられるだけ載せて持ち帰り、ゴミの日に少しずつ処分しました。

不動産仲介会社の担当者に紹介してもらった業者に、処分費用を見積ってもらいます。

不動産仲介会社の担当者は「どんなゴミ屋敷でも25万円は超えたことがない」と言っていましたが、出てきた見積りは45万円。

正直「だろうな」と思いました。45万円が高いという感覚はありません。

不用品処分の立ち合いは、不動産仲介会社の担当者がしてくれると言います。
お金になりそうなものは、すべて持ち出し済なので、お任せすることにします。
1週間ほどで、部屋の中が綺麗になった写真がメールで送られてきました。

解体工事を依頼する

不動産仲介会社の担当者に紹介してもらった業者に、解体費用を見積ってもらいます。
不用品処分の金額を大外れした不動産仲介会社の担当者が迷惑を掛けたのでと言って値引き交渉までしてくれました。

追加工事が発生し、予定より高めの240万円の支払いになりました。
正直、相場観が分からないので、言い値での契約です。不動産仲介会社の担当者を信じるしかありません。

解体工事のチェックなども不動産仲介会社の担当者がやってくれたので楽できました。
工事が始まって3週間ほどで更地になり、完了報告書が送られてきました。

解体工事と並行して境界線調査を実施

隣接するお宅との境界線をはっきりさせる必要があるということで調査会社が入ります。
こちらも、不動産仲介会社の担当者に紹介してもらった業者に、作業を依頼します。
調査の前に、近隣のお宅に挨拶に回ります。
手土産を用意して、解体工事が入ることを告げながら、昔から知っている方たちに最後のご挨拶をして回りました。

更に建物の解体が終わったところで必要となる、建物の滅失登記をお願いします。
境界線調査と合わせて16万円支払いました。既に業者への支払額は300万円を超えました。その間の収入は買い主が支払った手付金の100万円だけ。亡くなった親も現金の遺産は残していませんでした。ホント資金力がないと、更地渡しは出来ません。

物件引き渡しと代金の振り込み

指定された引き渡し日までに更地化も無事終わりました。

最後の物件の引き渡しと代金の振り込みのため、売り主側と買い主側が集まります。

振り込む関係があるため、買い主が指定する銀行で最後の手続きをします。

通常は銀行の会議室や応接室が用意されるらしいですが、何かの手違いで用意されてませんでした。このため、急遽、銀行のロビーで手続きが始まります。
その時は、銀行側の問題と言ってましたが、真相は不明です。個人的には、買い主側の不動産仲介業者がしっかりしてないからと思いましたが。

売買の残金が振り込まれ取引が全て終わりました。担当者や買い主にお礼を言って別れます。

余談ですが、
代金が振り込まれた都市銀行からその日の夕方には営業の電話が掛かってきました。
「使う予定がある」と言って電話を切った直後に、ネット銀行にさくっと資金移動したことは内緒です。

次は、確定申告です。