WiFiルータの消費電力を下げるには、プリンターの買い替えが必要だった

インターネット・プロバイダーを変更した際に、衝動買いしたNEC製のWiFiルータ。

標準設定のままでも充分省エネだったのですが、更なる省エネ化できるかチャレンジしました。

WiFiルータの電気代にこだわる理由

WiFiルータは、24時間365日稼働させるのが、一般常識。

良く記事になっているのは、WiFiルータ単体での電気代計算。
「24時間365日稼働させても1か月たったこれだけ」というパターンですが、ちょっと待って!

WiFiルータだけでは、インターネットには繋がりません。

回線終端装置、モデム、ホームゲートウェイなど、通信事業者からレンタルされる装置とセットで使われるのがWiFiルータです。

レンタル機器は自分では機種を選べませんが、WiFiルータは自分で選べる機器。

消費電力にこだわって、機器選びをしても良いのでは。

NEC Aterm PA-WG1200HS4 を購入しました

私が衝動買いしたのは、NEC Aterm PA-WG1200HS4です。

NEC Aterm PA-WG1200HS4
NEC Aterm PA-WG1200HS4

機器の選定条件は、
IPv6(IPoE DS-Lite(transix))と無線LAN規格(11ac)をサポート、
価格が安いこと、信頼できるメーカー製であること。

カタログスペックではありますが、最大消費電力もチェックの対象でした。

購入時に比較したのは、NECのWG2600HS。
高性能(4ストリーム)なのに、販売から日が経っているため安いのが特徴。

WG1200HS4は2ストリームですが、端末側のアンテナ数と数・利用者数を考えれば、性能的に十分。

最後に比較したのは、消費電力。

WG1200HS4の最大消費電力は、8W。
WG2400HSの最大消費電力は、13.5W。

アンテナ数の違いが、消費電力に表れています

予算に合わず候補にしなかったバッファロー製WSR-1166DHPL2(2ストリーム)は、9.5W。
WG1200HS4の省エネ性能が優れていることが確認できました。

標準状態の消費電力を実測

私の実使用環境で、WG1200HS4の消費電力を実測していきます。

いつも通り、サンワのワットモニターを使います。

ワットモニター
ワットモニター

WiFiルータ(WG1200HS4)の上位に光終端装置を接続した状態で、3.1W。

WiFi接続した複数の端末からYouTubeの動画再生をしますが、消費電力に変化はありません。

光終端装置の電源を切ると、消費電力が2.7Wまで落ちます。
この状態ではインターネットに繋がりませんが、WAN側ポートの消費電力を知ることができました。

WiFiルータの上位は光終端装置、下位に有線接続でデスクトップPCを繋いで消費電力を計測します。

ワットモニターが計測した消費電力は、3.4W。

以上のテストから、普段の使い方(WiFi接続でインターネットを利用する)の場合、
WiFiルータの消費電力(3.1W)と光終端装置(2.1W)の合計5.2Wが必要と分かりました。

何とかして、消費電力合計を4W台前半にできないか。そんなチャレンジをしてみました。

更なる省エネを求めて設定変更

WG1200HS4には、以前使っていたBuffaloのような「省エネモード」設定は用意されてません。

あるのは、WiFi機能(無線)をスケジュールに沿ってON/OFFする機能だけ。

私のように、使う時だけWiFiルータの電源を投入する人には、あまり意味のない機能です。

各社、どのような省エネ機能を用意しているのでしょうか。調査してみました。

省エネ機能の代表例

LANのポートの速度を落として省エネ

今回購入したWG1200HS4には実装されていませんでした。残念。
1Gbpsの通信ではなく、10Mbps/100Mbpsといった速度にすることが、省エネになります。
BuffaloのWiFiルータを使っていた時は、この速度変更で0.1Wの省エネになりました。
auからレンタルされていたNEC製のホームゲートウェイでは、0.4Wの省エネでした。

USBポートを使用不可にして省エネ

WG1200HS4には、USBポートが実装されていないので、今回は対象外です。

WiFiの通信速度を落して省エネ

WiFiの最高通信速度を54Mbpsに制限することで省エネを図る技術です。
チャンネルポンディングやストリーム数が消費電力に影響するのでしょう。
WG1200HS4では、デュアルチャンネル(クワッドチャネル)の設定やテレビモードが消費電力に影響しそうな設定項目になります。

使っていないLANポートには給電しない

殆どのメーカーで実装されている標準的な機能です。
この技術によって、大きく待機電力が減ったそうです。
十年以上前のWiFiルータを使っている場合は、対応状況を確認しておいた方が良いかも。

WiFi機能を設定したスケジュールでOFF/ONする

殆どのメーカーで実装されていると思います。
WiFiルータの管理画面で設定で行いますが、各社で使い勝手に差があります。

ランプ表示を消して省エネ

無線(WiFi)をOFFにすると消費電力は、どれだけ減る?

WG1200HS4には、周波数帯単位で、電波をOFFにする機能があります。

試しに2.4GHz帯の電波をOFFにしてみます。

消費電力は、2.6Wに減少しました。(0.5W減)

5GHz帯も同様に減るとすると、WiFiスケジュール設定で減少する消費電力は、1W。

寝ている7時間にOFF設定をしたとして、年間2.56kWhの節約です。
ささやかですが、行動することが大切というレベル。

それより、私のような使い方なら、2.4GHz帯の電波を終日停めた方が節電になります。

2.4GHz帯の電波は停められるのか

我が家で、WiFiルータに接続している機器は、以下の通りです。

スマートフォン3台、タブレット1台、ノートパソコン2台、テレビ1台、プリンター1台

プリンター以外は、手動でSSIDを指定して接続したので、5GHz帯(11ac)で接続しているのが明確。

問題はプリンター、裏コマンドのような操作で、自動接続させています。

プリンターは、CANON MG3530。年代物で、去年くらいから壊れそうで壊れない状態。
メーカーのサイトでサポート状況を調べると、11a(5GHz)には対応していません。残念。

このMG3530という機種、いわゆる普及価格帯(エントリーモデル)。
最新機種でも、エントリーモデルは、5GHz帯をサポートしていません。

年賀状くらいにしか使わないのに…
プリンターを買い替えるときは、スタンダードモデル以上、2万円前後の出費が予想されます。

ということで、我が家では、当分2.4GHz帯とサヨナラできなそうです。
別の一手を考えることにしました。

送信出力を落としてみる

WG1200HS4は、設定でWiFiの出力を100%(デフォルト値)から15%まで変更できます。

日本国内では、2.4GHz帯の空中線電力は10mW/MHzと決められています。
20MHzのバンド幅を使うので、最大出力は200mW(0.2W)。
消費電力とイコールではありませんが、送信出力を落とせば、省エネになりそうな気がします。

幸いプリンターは、WiFiルータの真横に設置してあります。
送信出力15%でも、問題なさそうです。

実際に送信出力を15%に設定してみました。
電波の出力を減らすので、消費電力も減ると思ったのですが、残念、全く変化なし

パソコンにアプリ(WiFi Analyzer)を入れて、電波強度を計測してみます。
アクセスポイントから1mの距離で、「-63dbm」。
動作確認も行いましたが、全く問題なくプリンタが使えました。

更に設定を変えてみる

送信出力15%のまま、2.4GHz帯の電波の使い方を設定で変えていきます。

TVモード:使用する → 使用しない

消費電力に変化なし。

このモードは、2つのチャンネルを束ねて高速に使う機能ですが、我が家には「ひかりTV」機器はありません。

そもそも、相手がいない機能なためか、OFF/ONは何の変化もありません。

デュアルチャンネル機能: 使用する(自動切換え) → 使用しない

消費電力に変化なし

帯域幅を20MHzか40MHz(デュアルチャネル)を選択する機能です。
プリンターが、20MHzなのか40MHzなのかも分からない中で、変更してみましたが、何の効果もありませんでした。

プリンターを買い替えずに、2.4GHzのWiFiを停める

方法は2つ。

1.WiFi接続を諦めて、USBでパソコンとプリンタを接続する方法

2.必要になる都度、WiFiルータの設定を変更する方法

利用頻度が少ないので、どちらでも何とかなりそうです。

エイ・ヤーという感じで設定変更。「2.4GHz帯のWiFiを停止しました」

5GHz帯も設定を変更する

設定変更の目的は、2つあります。

1.消費電力を減らすこと

2.起動にかかる時間を減らすこと

TVモード:使用する → 使用しない

もはや、期待はしていませんでした。

予想通り、消費電力に変化はありません。

TVモードは使わない機能。消費電力に減らないが、「使用しない」の設定にしておきます。

クアッドチャンネル機能: 使用する → 使用しない

消費電力に変化はありません。

端末(スマホ)とのリンクスピードが、78Mbspに落ちています。
クアッドチャネルを使う設定の時は、390Mbpsの表示だったので、1/5。

クアッド=4なのに、1/5の速度に落ちたのが腑に落ちませんが、先に進みます。

設定は通信速度を優先するため、「クアッドチャネル機能を使う」に戻しました。

送信出力を変更する

送信出力を100%から50%に変更します。

2.4GHz帯の時は、ワットモニターに表れるほどの変化はありませんでした。

今回も、消費電力に「変化なし」。

理論的には、周波数が高いほど消費電力が大きくなるので、100%→50%でも変化がみられるかと思いましたが、残念。

計測できないくらいの節電なんだろうと勝手に解釈して、送信電力は50%にしてあります。

起動時間が短くなる設定を入れる

前のWiFiルータの時は、起動完了まで45秒だったのですが、Aterm WG1200HS4では1分40秒ほど掛かっていました。

更に、使用中に電波が切れることが度々。

原因は、5GHz帯に割り当てられたのチャンネルの使い方。

WG1200HS4は、自動的に空きの多いチャンネル帯としてW56を選択。
以前使っていたWiFiルータは、混雑にかかわらずW52を優先的に使っていました。

この差が、起動時間の差や電波の安定性の違いになっていました。

WiFi Analyzerでも混雑していることが分かるW52バンドに、あえて変更することで、起動時間を短くし、通信の安定性を得ます。

少し専門的になりますが、理由を解説します。

W53、W56のバンドでは、レーダ波などと干渉することがあるため、起動時1分間、電波の監視時間が設けられています。これにより、起動に1分余計な時間が掛かります

利用中にレーダ波を受信した場合は、自動的にバンドを切り替えるのですが、切り替え先がW53/W56の時は、先のルールに従って1分間電波の監視を行うため、通信が途切れます

レーダ波の代表例は気象レーダ、船舶や航空機のレーダなど。

最後に状態表示ランプの点灯状態を変更

状態表示ランプの点灯状態を設定で変更します。

「点灯」から「POWERランプのみ点灯」に変更します。

残念ながら、小さなLEDランプは、計測可能な消費電力ではないようで、ワットモニターに変化はありません。