スマートフォン(Huawei P20 lite)の充電オプションの違いは何?徹底的に充電テストをして、充電の仕組みを深く理解する。

3年前に購入したHuawei P20 liteですが、バッテリーが劣化したこともあり、スマートフォンとしての役割を引退、今は、室内で音楽やラジオを聴いたりする端末として、利用しています。

今更ですが、Huawei P20 liteの「電池設定」には、「スマート充電」と「スマートバッテリー容量」という充電に関するオプションがあります。

Huawei P20 Lite

バッテリー劣化によって、たった3年で、スマートフォンを買い替えることになった悔しさもあり、このオプションで何が出来たのか検証していきます。

本コンテンツは、以下の内容を記載しています。

  • スマート充電、スマートバッテリー容量のオプション検証
  • 充電時間に影響する要素の検証
  • おすすめの電池設定と充電方法
  • バッテリーの劣化を知る方法

HUAWEIの端末は、充電終了ポイントが3つある

ひとつ目は、インカメラ横のインジケータです。

充電中は、オレンジ色に光っていますが、充電が終了するとグリーンに変わります。
他社だと、この時点で、バッテリーの充電率が100%ですが、HUAWEIは、90%。
ランプ表示がグリーンになっても、充電は続きます。

ふたつ目は、画面に表示される充電率です。

画面を見なければ分からないのがネックですが、100%または充電完了の表示が目安です。
この100%の表示は、バッテリーの両端の電圧が、4.1Vになった時点と推測されます。
100%に到達しても、まだ充電は続きます。

みっつ目の充電終了ポイントは、目には見えません。

100%を超えても、充電し続けていた微弱な電流が、待機状態に切り替わるポイントです。
バッテリーの両端電圧が、4.2V近辺に達し、本当にバッテリーが満杯の状態です。
先ほどの100%の時点より、0.1V多いだけですが、1割近く多く、蓄電できます。
トレードオフとして、バッテリーの劣化速度が倍になります。

スマート充電、スマートバッテリー容量とは

デフォルト(工場出荷時設定)では、
スマート充電がON、スマートバッテリー容量がOFF
でした。

スマート充電

「バッテリーの健全性を維持するため、デバイスはユーザーの充電習慣から学習して、ユーザーが使用する必要があるときになるまで80%を超えるフル充電を遅延させます」

この説明文で、何が起こるか理解できただろうか。
私には、さっぱり。
何となく、充電に時間がかかりそうなイメージだけは持てました。

このオプションをオフに変更する時に、下記の警告が出ます。

「スマート充電が無効になっている場合、充電器を接続するとバッテリーは常に100%まで充電されます」

スマート充電の警告画面

100%まで充電されない場合を経験したことがないので、イメージが湧きません。
とにかく、実際に充電してみて、確かめるしかなさそうです。

スマートバッテリー容量

「有効な場合、バッテリーは実際の最大容量の少し手前で充電を終了します。こうすることで、1回の充電の持続時間は減りますが、バッテリーの寿命を延ばせます。」

こちらの、説明文は分かり易い。
こちらのオプションを、新品の頃からONにしておけば、3年で買い替えることもなかったと思うと、悔しくて悔しくて。

マトリクス表に纏めてみた

上記の説明文から、イメージした予測効果を表に纏めてみました。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ONバッテリーに一番優しい設定
充電に時間が掛かる上、
早くバッテリーが切れる
最速で、
最大容量の少し手前まで充電
スマートバッテリー容量OFF工場出荷時設定
バランスの取れた実用的な設定
時間を掛けて最大容量まで充電
バッテリーに一番厳しい設定
最速で、最大容量まで充電
電池設定オプションの予測効果

文面のイメージ通りなのか、実測していくことにします。

実測するための道具

実測に必要なのは、
時間を測る道具、USBケーブル上を流れる電流(積算電流量)の計測装置、待機状態に切り替わったことを知るための消費電力計です。

サンワサプライのワットモニター

今回の主役は、簡易Type-C 電圧・電流チェッカーの方なのだが、
ワットモニターがあると、消費電力の変化を大きな画面で確認できるのが便利です。
測定精度の問題はありますが、USB充電器(ACアダプター)の変換効率も見れて楽しいです。

ワットモニター
ワットモニター

瞬時電力の測定と積算電力量の測定ができますが、スマートフォンのように消費電力が少ない機器では、積算電力量は役に立ちません。

瞬時電力を見ながら、後どれくらいの時間で充電が終了するか予測するのも、面白いです。

簡易Type-C 電圧・電流チェッカー RT-TC3VABK

Route RのRT-TC3VABKという機器です。
Amazonで購入しましたが、結構いい値段する商品です。使用機会が少ないものなので、清水の舞台から飛び降りた気分で購入。

Route R USB 電圧・電流チェッカー

USBケーブルを流れる電圧と電流を測定する装置です。
積算電流計が付いているので、バッテリーに送られた電流量が測定できます。
積算電流計は電圧の違いを考慮しません。なので、USB PD対応機器の場合には、電卓が必要になります。(今回対象のHuawei P20 liteは、USB PD対応ではないので、電卓は使いません)

測定方法・条件について

使用するHuawei P20 Liteは、
新品時のバッテリー性能は、3000mAhでしたが、
バッテリーが劣化しており、初期性能の半分以下と推測されます。

Huawei Quick Charger対応の純正USBアダプターは紛失したため、
lenovo製のUSBアダプター(5V、2A)を使用します。

充電は、バッテリー残量20%から充電開始、充電完了は、待機電力に切り替わるまでとします。

満充電のポイントは、以下の3点で、所要時間と積算電流量を実測していきます。
第1ポイント:インカメラ横のインジケータがグリーンになった時(充電率90%)
第2ポイント:充電が100%の表示になった時
第3ポイント:フル充電(待機電力に切り替わった時)

バッテリー残量が20%になったことを示す警告が出たところで、スマートフォンをシャットダウン、充電開始します。
Huawei P20 Liteは、充電コードを刺した時に、勝手に起動することはありませんが、アラームなど一部の機能は、シャットダウン中でも生きているので、ほんの僅かですが電力消費があるようです。

USB電圧・電流チェッカーを間に挟むことで、充電時間に影響が出ます。
どの程度の影響があったは、「充電時間に影響する要素」の項で説明します。

電池設定オプションの効果を実測

実測開始

通電直後の数秒間、数字がどんどん変化していきますが、その後は、定電圧・定電流で充電が始まります。バッテリーが劣化している為か、定電圧・定電流の時間は短め。
その後は、電流を減らしながら充電が続いて行きます。

測定中のHuawei P20 Lite

結果発表

結果を、充電ポイント別に表に纏めました。
計測したのは、充電開始からの経過時間(上段)、積算電流値(下段)

グリーンランプ点灯(充電率90%)

スマート充電のON/OFFの差で、充電時間に差が出ているのは分かるのですが、その差は思ったほど多くありません。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ON1時間8分
1234mAh
1時間4分
1248mAh
スマートバッテリー容量OFF1時間13分
1272mAh
1時間4分
1272mAh
電池設定オプションの効果(充電率90%)

更に言えば、20%から90%になるのに必要な電流量は、どんな設定でも同じはずなのに、差があります。

充電率100%

充電率90%から100%になるのに要した積算電流量は、200mAh前後でした。
やや誤差が大きい気もしますが、この測定方法の限界と諦めます。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ON1時間47分
1434mAh
1時間31分
1441mAh
スマートバッテリー容量OFF2時間8分
1482mAh
1時間35分
1458mAh
電池設定オプションの効果(充電率100%)

単純計算ですが、充電率20%から90%にの時の積算電流量を70%で割ってみると、1%充電するのに17.6mAh~18.2mAh要しています。
今回の90%から100%の時の積算電力量を10%で割ると、18.6mAh~21.0mAh。
1%の充電を行うために、より多くの電力を消費しているように見えます。

フル充電

結果は、衝撃的。

スマートバッテリー容量がONになっている方が、より多くの電流が流れています。

スマート充電OFFは、充電率100%の時までは最速で充電が進んでいたのですが、最大容量まで充電を進めたため、かなりの時間を要していました。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ON2時間25分
1541mAh
2時間41分
1681mAh
スマートバッテリー容量OFF2時間21分
1513mAh
2時間33分
1638mAh
電池設定オプションの効果(フル充電)

100%充電からは、かなりの電流が追加されたのですが、実感として、しっかり充電された感じがしません。

特に、最も多く電流が流れた、「スマート充電OFF」「スマートバッテリー容量ON」の組み合わせは、端末を立ち上げた途端に、バッテリー残量が99%の表示。

電気代が多く掛かっている方が、充電されていない」という、頭が完全にバグりそうな結果でした。

USB 電圧・電流チェッカーが悪さをしてないか確認

USB電圧・電流チェッカーの影響で、充電時間が長くなったり、無駄な電流が流れた原因になってないか、確認することにします。

グリーンランプ点灯(充電率90%)

上段が、USB電圧・電流チェッカーあり。下段が、USB電圧・電流チェッカーなし。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ON1時間8分
→ 1時間10分
1時間4分
→ 1時間0分
スマートバッテリー容量OFF1時間13分
→ 1時間0分
1時間4分
→ 1時間2分
USB電圧・電流チェッカーの影響(充電率90%)

充電率100%

何がいけないのか、想定外の結果になりました。

「スマート充電ON、スマートバッテリー容量OFF」の設定は、時短になり、それ以外の設定は、時間が掛かるようになりました。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ON1時間47分
→ 1時間48分
1時間31分
→ 1時間34分
スマートバッテリー容量OFF2時間8分
→ 1時間28分
1時間35分
→ 1時間38分
USB電圧・電流チェッカーの影響(充電率100%)

想定外だったのは、所要時間が異なっただけではありません。

「スマート充電OFF、スマートバッテリー容量ON」の設定では、
電源を入れると充電率100%の表示。さらに使っているそばから、99%に落ちることもありません。しっかり、100%充電できていることが感じられます

実測結果から、オプションの特徴を纏める

当初思い描いたイメージは下記のとおりです。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ONバッテリーに一番優しい設定
充電に時間が掛かる上、
早くバッテリーが切れる
最速で、
最大容量の少し手前まで充電
スマートバッテリー容量OFF工場出荷時設定
バランスの取れた実用的な設定
時間を掛けて最大容量まで充電
バッテリーに一番厳しい設定
最速で、最大容量まで充電
電池設定オプションの予測効果

実際に測定した結果を文書に纏めました。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ON早くバッテリーが切れる
結果が予測可能なので、
安心して使える
充電率100%で止めるなら
おススメ。
しっかり充電されるが、
バッテリーの劣化もあり
フル充電は時間の無駄
スマートバッテリー容量OFF最速で充電完了するが、
早くバッテリーが切れる
何が起きるか予測不能
おススメ出来ない
(*1)
充電率100%で止めるなら
おススメ。
しっかり充電されるが、
バッテリーの劣化もあり
フル充電は 時間の無駄
電池設定オプションの予測効果

(*1) 詳細は後述するが、AccuBattery(アプリ)+USB電圧電流チェッカーのパターンで過充電発生

充電時間に影響を与える要素を検証

省電力モード設定は、充電時間に影響するか → 意外な結果が待っていた

次の条件で充電テストを行いました。

・バッテリー残量20%の警告が出たら、省電力モードをON。
 直後にシャットダウンし充電開始。
・USB電圧・電流チェッカーは使用せず。
・グリーンランプ点灯(充電率90%)と充電率100%までの時間を計測
・省電力モードに切り替えなかった場合と比較する

省電力モードとは

バックグランドで通信するアプリの動作を制限し、メールの自動同期off、視差効果も削減されるモード

充電中や満充電時に、省電力モードを自動で解除するスマートフォンもあるが、シャットダウンしているHuawei P20 Liteでは、解除されないようだ。

常識的には
シャットダウンしている状態で、省電力モードは無関係のはずなのですが、、、

グリーンランプ点灯(充電率90%)

上段が、通常設定。下段が、省電力設定。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ON1時間10分
→ 1時間7分
1時間0分
→ 1時間0分
スマートバッテリー容量OFF1時間0分
→ 1時間5分
1時間2分
→ 1時間0分
省電力モード設定の影響(充電率90%)

充電が早くなったり、遅くなったり。誤差程度の時間差ではあるが、影響を受けたことが見て取れます。

充電率100%

微弱な電流が流れる充電の終盤では、差が大きく現れるが、全ての設定で、充電時間が短くなる訳でないところがミソ。ただ、何が起きているのかは、サッパリ。

唯一、言えることは「スマート充電ON、スマートバッテリー容量OFF」の設定は、いつも他の設定とは、逆の結果になるということ。

スマート充電ONスマート充電OFF
スマートバッテリー容量ON1時間48分
→ 1時間39分
1時間34分
→ 1時間20分
スマートバッテリー容量OFF1時間28分
→ 1時間37分
1時間38分
→ 1時間24分
省電力モード設定の影響(充電率100%)

USB充電器によって、充電時間はどれくらい変化する

測定条件は、以下の通り
・バッテリー残量が20%になったら、シャットダウンして充電を行います
・グリーンランプ点灯(充電率90%)と充電率100%になる時間を計測する
・バッテリー関係のオプションは、「スマート充電ON、スマートバッテリー容量ON」。
・USB電圧電流チェッカーは使用しない

比較したUSB充電器は、Lenovo、エレコム、OMKUYの3つ。

左からLenovo、ELECOM、OMKUYのUSB充電器

簡単に、スペックを紹介しておきます。
Lenovo:ChromeBookに標準で付いてきたUSB充電器。5V、2A対応。
エレコム:市販品。5V、2.4A対応のUSB充電器。
OMKUY:USB-PD対応の充電器。Huawei P20 Liteは、Huawei独自の高速充電に対応

実測結果は、下記の通り。衝撃的な差が出ました

充電率90%充電率100%
Lenovoの充電器1時間10分1時間48分
エレコムの充電器1時間24分1時間49分
OMKUYの充電器51分1時間13分
充電器によって充電時間は変わるのか

Lenovoとエレコムは、途中経過に特徴的な違いが出ていますが、充電終了は、ほぼ同タイム。

驚異的な違いが出たのが、USB PD対応のOMKUYのUSB充電器でした。
なぜ、こんなに差が出たのか、追加試験を行うことにしました。

驚異的な差が出た、OMKUYの充電器。なぜ、こんなに違うのか

充電時間が大幅に短縮された理由は、「急速充電が行われた」ということ以外考えられません

しかし、Huawei独自の急速充電対応の機器とUSB PowerDelivery対応のUSB充電器の組み合わせで、本当に急速充電が出来るのでしょうか。

そこで、登場するのがUSB電圧電流チェッカー。
OMKUYのUSB充電器とHUAWEIのスマートフォンの間に、USB電圧電流チェッカーを挟み込みます。

急速充電の規格が違うのに、急速充電できる理由は?
結果は、全く予想していない充電パターンでした

充電を開始すると、予想通り、9Vでの充電が行われ始めます。

規格が違っても、急速充電が行われることに、やや驚きはあるものの、ここまでは、想定内。
本当の驚きは、充電の終盤にやってきます。

9.00Vを示すUSBチェッカー

何と、9Vから5Vに切り替わることなく、最後まで9Vのまま充電が進んでいきます
USBチェッカーの積算電流量が、856mAhに達したところで、充電率が100%となりテストを終了。

ここら辺の違いが、HUAWEIの独自規格とUSB PD規格の差なのかもしれません。

ところで、5Vで充電した時の積算電流量は1440mAh前後。
9Vで充電した時の856mAhを、どう評価すれば良いのでしょうか。

単純計算ですが、9Vを5Vに変換する昇降圧型DC-DCコンバータICの変換効率は93%ほど。
時間短縮になりますが、7%ほど余計に電気代が掛かることになります。

スリープモードとシャットダウンで充電時間は、どれくらい変わる

スリーブモードの測定条件は、以下の通り
・バッテリー残量が20%になったら、スリープモードにして充電を行います。
・グリーンランプ点灯(充電率90%)と充電率100%になる時間を計測する。
・バッテリー関係のオプションは、「スマート充電ON、スマートバッテリー容量OFF」

実測の結果は下記のようになりました。

スリープモードシャットダウン(標準モード)
充電率90%1時間1分1時間0分
充電率100%1時間28分1時間28分
スリープモード vs シャットダウン

誤差程度の差しか出ません。
この程度の差なら、いちいちシャットダウンして充電する意味はありません

アプリによる影響を見ておく

次のセクションでは、AccuBatteryというアプリを使って、更に細かなデータを取ります。

このため、本アプリが充電時間に与える影響を実測しておきました。

測定条件は、以下の通り
・バッテリー残量が20%になったら、AccuBatteryを起動し、充電を開始。
・充電が始まったらスリープモードする。
・グリーンランプ点灯(充電率90%)と充電率100%になる時間を計測する。
・バッテリー関係のオプションは、「スマート充電ON、スマートバッテリー容量OFF」

結果は、

アプリ起動ありアプリ起動なし
充電率90%1時間2分1時間1分
充電率100%1時間35分1時間28分
AccuBatteryの影響を計測

微弱な電流となる充電の終盤で、時間が掛かるようになりました。
アプリが消費する電力が、影響したようです。

AccuBatteryでデータを取得してみる

何とびっくり! 過充電になる

工場出荷と同じ設定の「スマート充電はON、スマートバッテリー容量OFF」でテストしました。

測定に使用したのは、AccuBatteryとUSB電圧電流チェッカーです。

AccuBatteryで取得した値とUSB電圧電流チェッカーで計測した積算電流値を比較してみます。

AccuBatteryUSBチェッカー
充電率90%1283mAh1263mAh
充電率100%1471mAh1456mAh
2時間41分経過1703mAh電流急増(暴走状態)
2時間49分経過データなし1800mAh超え(打ち切り)
AccuBatteryとUSBチェッカーを組み合わせると

何と、AccuBattery、USBチェッカー、「スマート充電ON、スマートバッテリー容量OFF」の組み合わせで、フル充電完了時に大暴走。過充電が始まります

最後まで見届けたいのは、山々だったのですが、本体のバッテリー付近が熱くなっているのを確認したところで、コンセントを抜きました。

スマート充電ON、スマートバッテリー容量OFF」の設定は、予期せぬというか、最悪の結果になるところでした。
他のテストでも、想定外の結果になるので、この設定は、二度と使わないことにします。

オプション設定を変更して再チャレンジ

「スマート充電ON、スマートバッテリー容量ON」の設定にして、同じテストを行います。

結果は、

AccuBatteryUSBチェッカー
充電率90%1293mAh1260mAh
充電率100%1504mAh1475mAh
フル充電1704mAh1716mAh
AccuBatteryとUSBチェッカーの測定値の違い

充電率100%までは、AccuBatteryの方が、大きな値が出ています。
OPPO Reno5 Aを充電したときも、同じ傾向だったので、正しく測定されたと言えます。
USBチェッカーとアプリのどちらが正しいかは、判断できませんが、フル充電で納得の結果になるところが面白い。

おすすめの充電方法は

これ以上、バッテリーの劣化が進行するのは、得策ではありません。

とは言え、どの設定を選んでも、100%以上の電流を流してしまうので、私が選んだ設定と充電方法は下記です。
・充電は日中に行う
・アプリを使って、任意の充電率に達した時点で、アラームを出す
・充電はスリーブモードで行う
・スマート充電はON、スマートバッテリー容量ONの設定で充電する
・5V・2Aの標準的なUSB充電器を使用する

更に、室内専用端末化したスマートフォンであることやCPUの性能を要求しないアプリしか使わないため、「省電力モード」を標準的に使用することにしました。

「省電力モード」で使用すると、バッテリー残量が20%になっても「省電力モード」に切り替えるよう促す警告はでません
その変わり、バッテリー残量が10%になった時点で、「ウルトラ省電力モード」に切り替えるよう警告がでます。

満充電を示すランプと、「ウルトラ省電力モード」の警告の2つで運用するのも可能ですが、楽をするため、アプリを使うことにしました。

アプリを使用して、任意の充電率でアラートを表示させる

これまでは、バッテリー容量が100%(110%)から20%の範囲で使用してきました。

今後は、バッテリー残量が90%から10%の範囲を使うことで、バッテリーへの負荷を減らしながら、従来どおりの使用時間を確保する工夫をします。

そのために、バッテリーの充電状況を監視するアプリ「バッテリーHD Battery」を導入しました。

バッテリーHDの画面

せっかくの機会なので、「バッテリーHD Battery」で何が出来るか、簡単に紹介しておきます。

・充電中や放電中に任意のバッテリー残量でアラートを出せます
・充電を開始するとアプリが自動起動し、充電率の監視が開始されます。

バッテリーHDの設定画面

バッテリーの劣化度合いは、推測できるのか

USB電圧・電流チェッカーの積算電流量から推測

このスマートフォンのバッテリー容量は、新品時に3000mAhありました。
単純計算で、充電率1%あたり30mAh。
110%充電で換算すると、充電率1%あたり27mAhです。

いま現在は、単純計算で充電率1%あたり、18mAh~20mAhの電流量が必要です。

計算上は、新品時の67%程度の性能に劣化なのですが、実際の感覚としては、半分以下に劣化しているように感じます

なぜなんでしょうか。

電流は流れているのに、入っていかない感じ。
充電量に対して、放電される量が少なくなっている
、のかもしれません。

これ以上は、素人では測定しようがありません。アプリ(AccuBattery)に頼ります。

AccuBatteryによる推定容量から

AccuBatteryは、充電中に測定した積算電流量から推定容量を表示することができます。
AccuBatteryによる推定容量は、2021mAh。

新品時の67%程の数字になりました。

実感覚とは合いませんが、USB電圧・電流チェッカーによる実測からの推定値と一致しました。

AccuBatteryによる消費電流量と充電電流量から

AccuBatteryには、充電時の充電電流量と放電時の消費電流量を記録する機能があります。

記録された結果は、

20%から100%まで充電するのに、1477mAhの充電が行われ、
100%から20%まで使用する時に、1228mAh放電された。

充放電効率を計算してみると、83%です。
本来、リチウムイオン電池は、充放電効率が95%なので、ここでも劣化が起きているように見えます。
ただ、AccuBatteryが記録した放電電流は、多少の誤差はあるとしても、本当に正しい値なのか、疑問があります。(OPPO Reno5 Aを充電した時も、不正確な値を示していたので)

単純計算ですが、先の推定容量の劣化と合わせると、
Huawei P20 Liteのバッテリーは、新品時の58%程度の性能に劣化しているように見えます。

AccuBatteryの値を見て気付いたのは、スリーブモード中の消費電力が意外と多い

この部分の消費電力を、減らせれば、もっと快適に使えそうです

バッテリーHD Batteryを使っていて、異常に気が付く

アプリ「バッテリーHD Battery」を使い始めて、異常な減少に気が付きます。

その異常とは、
充電が終了し、ケーブルを抜いた直後から、スマホを使っていない(スリープ状態)にも関わらず、大きくバッテリー残量が減少しています。
30分で5%減の時もあれば、1時間で10%の時も。

どうやら、この充電完了直後のバッテリー消費の原因が掴めれば、先ほどの「スリーブモード中の消費電力の多さ」が改善できそうです。

原因調査のため、
不要なアプリの削除や無効化、通知の停止、設定変更など、様々なテストを数週間行いました。

結果は
「全く、分からず」

充電終了直後のスリーブモード中に稼働していたアプリは消費電力が多い順に、Google Play開発者サービス、HMS Core、バッテリー、Google、AppGallaryなど。ハードの方ではwifi。

一番怪しいのは、Google Play開発者サービスですが、
現時点では、決定打となる証拠もなく、対策も思いつきません。

OPPO Reno5 AやChromeBookへの充電では、同現象は確認できないので、Huawei P20 Lite固有の現象でしょう。

かなり厄介な問題でしたが、継続調査した結果、以下の原因でした。

バッテリーHD Batteryを使っていたので、原因が分かった

アプリ「バッテリーHD Battery」 では、時系列で
バッテリー残量、電圧、温度をグラフ表示することが出来ます。

このグラフを眺めているときに、
バッテリー残量が急激に減るのと、同じタイミングで、温度が下がっていることに
気が付きました。
充電中30℃前後だった温度が、30分ほどで25℃まで下がっています。

バッテリーの残量を管理しているのは、バッテリー残量計ICと言われる専用のICチップ。

バッテリーのオープン回路電圧、充電と使用した電流量、インピーダンス、動作温度を計測し、経年劣化の補正アルゴリズムでバッテリー残量を1%単位で表示するためのICです。

動作温度は、インピーダンス(抵抗値)に関係するもの。

素人の筆者には詳しいことは分かりませんが、
インピーダンス・トラック方式と呼ばれる技術で、インピーダンスの変化が経年劣化によるものか、温度変化による一時的なものか判別するために、温度という項目を測定しています。

動作温度が低くなると、インピーダンスが上昇。経年劣化でもインピーダンスは上昇します。

Huaweiのホームページに、以下の記載がありました。

端末によってバッテリ残量が較正されるのは、端末の起動時、バッテリ残量が低いとき、長時間スリープ後に起動したときです。バッテリ残量は較正後に変わる場合があります。これは正常な動作ですのでご安心ください。

HuaweiのFAQより「バッテリ残量が突然変わったり、不正な値を示したりします」