電気泥棒は、意外にも冷蔵庫。徹底的に節電対策をしたら驚きの結果に

家じゅうにある家電。使っていなくても発生するのが、待機電力と言われる消費電力です。

ひとつひとつの機器の待機電力は、ごく僅かかもしれませんが、家じゅうの待機電力を合算すると意外な数字になります。

待機電力の多さに気付くきっかけになったのは、長期旅行。
想定外の多さに、電気泥棒をしている犯人捜しを始めます。

少なそうで意外と多い待機電力

電気泥棒を探すきっかけ

今年の長期旅行は、昨年の反省を踏まえ、出掛ける前に、家じゅうの家電のコンセントを抜いておきます。
唯一、稼働状態にしたのは冷蔵庫
そのほか、インターフォン、ガス給湯器、浴室換気乾燥器、換気扇などコンセント式でない家電の待機電力があります。

帰宅後、電力会社(Looopでんき)のサイトで、外出期間の電力消費量を確認しました。

その結果は、一日あたり、1.5kWh~1.7kWh
昨年、コンセントを抜かずに外出した時が、1.7kWh~1.8kWhだったので、殆ど減っていません。
(コンセントを抜かずにいた機器の待機電力合計は23Wほど。昨年のデータより、0.5kWh落ちるハズでした。)

机上計算では、もっと減っていいはず。何か変です。

あれこれ調べて、いくつかの異変を感じます。

コンセント式でない家電の待機電力が異常に大きいか、冷蔵庫の消費電力がカタログ値の倍近いかもしれない。(私は、前者を隠れ待機電力、後者を省エネ詐欺と呼んでいます)

在宅中の深夜時間帯における消費電力も、昨年より多くなった気がしてます。

原因が思い当たらないので、悩みまくることになります。

どうやって、電気泥棒を探す

一番良いのは、ブレーカーから出ている配電線のところで消費電力をリアルに測定する方法です。

しかし、そのためには、待機電力のような小さな電流と小さな力率を計測できるクランプ式の電力計が必要です。
この機械が高いんだ。まあ、プロが使う機械なので当然ですが。

ということで、スマートメーターで計測された消費電力値を使うことにしました。

スマートメーターの測定値を使う2つの方法

この方法だと、待機電力を直接的に計測することができません
ですが、冷蔵庫だけの消費電力量を計測する、冷蔵庫と隠れ待機電力の合算値を計測する、などができます。簡易な方法ですが、何か犯人の手掛かりが掴めそうです。

スマートメーターでの計測結果を見る方法ですが、2つあります。

ひとつ目は、電力会社のマイページにある電力使用量グラフを使う方法。
この方法の欠点は、マイページへの反映が数日遅れなこと(エルピオでんきなど一部の電力会社はリアルタイム更新ですが)

ふたつ目は、自宅内に設置した専用機器とスマートメーター間で通信させて、リアルタイムに電力使用量を把握する方法です。
この方法に使用する機器は、1万数千円から入手できます。

私は、ひとつ目のお金を掛けない方法を選択しました。
理由は、電気泥棒を捕まえたら、後は使わなそうなので。

冷蔵庫の消費電力は

冷蔵庫以外のブレーカーを落として6時間ほど外出します。
残暑の厳しい日だったので、条件的にも、厳しい日かもしれません。

2016年製の冷蔵庫の年間消費電力量は、310kWhと取扱説明書にあります。
そこから出てくる答えは、6時間の使用で0.21kWh

実測時は、6時間で0.5kWh !!!!!

薄々は気付いていました。
Looopでんきが提供する電力使用量グラフは、1時間単位、0.1kWh単位となっているため正確な消費電力が測定できた訳ではありません。それでも、カタログ値の倍はありそうです。

これって「省エネ詐欺じゃ~」と心の中で叫んでおきます。

6時間計測するのがポイント

深夜の寝静まった時間帯か、長時間外出するタイミングの、連続する6時間以上のスマートメーター値を使うのが正解です。

スマートメーターの値は、Looopでんきの電力使用量グラフ上では、1時間単位、0.1kWh単位の表示になります。

私は、深夜の時間帯を使って、冷蔵庫+待機電力値を実推しています。

連続6時間のなかで、以下のような消費パターンを見つけて、1時間あたりの消費電力を算出しました。

使用電力グラフのパターン消費電力の範囲(1時間当たり)
0kWh → 0kWh → 1kWh49.9W以下
0kWh → 1kWh → 0kWh → 1kWh → 0kWh → 1kWh50 ~ 59.9W
0kWh → 1kWh → 0kWh → 1kWh → 1kWh → 0kWh60 ~ 66.6W
0kWh → 1kWh → 1kWh → 0kWh → 1kWh → 1kWh66.7 ~ 74.9W
0kWh → 1kWh → 1kWh → 1kWh → 0kWh → 1kWh75 ~ 79.9W
0kWh → 1kWh → 1kWh → 1kWh → 1kWh → 0kWh80 ~ 83.2W
0kWh → 1kWh → 1kWh → 1kWh → 1kWh → 1kWh83.3 ~ 99.9W
1kWh → 1kWh → 1kWh → 1kWh → 1kWh → 1kWh100 ~ 116.6W

電気泥棒の正体

冷蔵庫+隠れ待機電力を、旅行中に実測した値から1.6kWh/日とします。
1時間あたりの消費電力に換算すると、67Wになります。

次に隠れ待機電力となっているのは、ガス給湯器、浴室換気乾燥機、換気扇、インターフォンなどがあります。
これらの消費電力は、取扱説明書に掲載の無いものもあり不正確ですが、9~10Wくらいと予測。

そこから導き出された冷蔵庫の消費電力(実推値)は、57W。

我が家の、冷蔵庫の消費電力を書き出すと、以下のようになります。

項目スペック
年間消費電力量310kWh
電動機の定格消費電力88W
電熱装置の定格消費電力(霜取り時)91W
全定格内容積508L

年間消費電力量を単純に365日、24時間で割ってみると、35Wという結果が出ます。
実推値の57Wと大きな開きがあります。

年間消費電力量とは何なのでしょうか。

年間消費電力量とは

JIS規格(JIS C 9801-3)で定められています。

周辺温度32℃測定による消費電力量205日分と周辺温度16℃測定による消費電力量160日分の合計」
「冷凍室 -18℃以下」「冷蔵室 4℃以下」
「周辺温度32℃測定時の湿度70±5%、周辺温度16℃測定時の湿度55±5%」
「ドアの開閉は、負荷投入時の1回で、冷蔵室・冷凍室の各1分間」
「冷蔵室の負荷は、冷蔵室の内容量1Lあたり、ペットボトルに入った水を12g」
「冷凍庫の負荷は、冷凍室の内容量1Lあたり、製氷皿に入った水を4g」

冷蔵庫の取扱説明書で確認すると、温度設定で「中」だと、冷凍室-18℃、冷蔵室4℃になります。
但し、ここにも条件があります。周辺温度が30℃で、ドアの開閉なし、冷蔵庫の中は空っぽ。

もう、ハッキリ言って分かり難い!

取り敢えず、冷蔵庫の前に立って温度の設定値を確認すると、冷蔵室も冷凍室も「中」でした。

年間消費電力量と実際の消費電力の関係は?

取扱説明書ではなく、カタログを見ているときにヒントになりそうな記述を見つけました。

年間消費電力量が340kWhの大容量機種(601L)の説明で、周辺温度30℃、ドア開閉なしで、1日あたり1.1kWhとあります。(冷蔵庫の中は入っているのか、空っぽなのか不明ですが)

ざくっとしていますが、
年間消費電力量(平均周辺温度25℃)から算出した値を1.18倍したのが、周辺温度30℃の時の消費電力量らしいことが分かりました。

メーカーさん(東芝)のテスト条件は、周辺温度が30℃の時。なぜ、JIS規格と違う条件なのかは不明です。

我が家の機種に当てはめてみると、周辺温度30℃なら、41W~46Wくらいのハズ。
やっぱり、実推値とかけ離れています。

悩んでいても答えが見つからないので、冷蔵庫の消費電力に影響しそうなものを書き出します

カタログや取扱説明書、ネットの情報を熟読し、消費電力に影響するものを書き出します。

  • 庫内の設定温度
  • 外気温と湿度
  • ドアの開閉
  • 庫内に保管している食品の量と内容
  • 製氷機の稼働状況
  • 冷蔵庫の裏から侵入する埃

庫内の設定温度は、一般常識に近いところですが、

どうやら、製氷機の稼働冷蔵庫裏の埃も関係していそうな感じです。

温度設定から変更します

我が家で使用している冷蔵庫は、東芝のGR-J510FVという機種。

ボタン一つで、「節電」という設定ができます。
説明書きによれば、冷蔵室・冷凍室の温度が1~2℃高くなる代わりに、10%程度の節電になります。

節電設定後のランプ表示

早速、設定してみると、前週までと比べ、0.5kWh/日減少しているようです。

下のグラフは、Looopでんきの提供する電力使用量グラフ(9/20~10/20)
設定前が、3kWh/日前後であるのに対し、設定後は2.5kWh/日を上回る日が一日もありません。

節電設定の効果

こんなに変わるんだという驚き。
節電ボタンを押した翌日から、目に見えて減っています。

実は、この設定をしたあたりから、気温がグンと低くなった事情もあります。
実験室のように条件を合わせられないのがネックですが、効果的なのは確か。

清掃してみる。何だ!この埃は?

いつもは、冷蔵庫の側面や上部の拭き掃除。時々、冷蔵庫を前に引き出して床の掃除機掛けで終わり。今回は冷蔵庫の裏側も清掃することにしました。

冷蔵庫と食器棚の隙間から、身体を入れると、そこに見えたのは、驚くような埃まみれの冷蔵庫。

埃が詰まった吸気口

吸気口らしき場所に、埃が目一杯詰まっていました。

ネットで調べると、吸気口の奥で、ファンが回っていて、コンプレッサーを冷やしているのだとか。

掃除機で埃を取っておきます。
裏のパネルを外して、中に入った埃も取りたいところですが、素人の分解は厳禁と諦めます。

清掃で電気代も減った

下の電気使用量グラフが、清掃前の10/17のもの。
注目したのは、深夜時間帯の消費電力量。

清掃前

0kWh、0.1kWh、0.1kWh → 0kWh、0.1kWh…のパターンです。
つまり、0.2kWh/3h。1時間あたり、67W~74.9Wほど。

次のグラフは、清掃後の10/19のもの。
同じように深夜の消費電力量に注目します。

清掃後

0kWh、0.1kWh → 0kWh、0.1kWh…のパターンです。
つまり、0.1kWh/2h。1時間あたり、50W~59.9Wほど。
この数字は、他の機器の待機電力も含んだ数字。後程のまとめで、冷蔵庫の消費電力の変化を紹介しています。

効果は確実にあった感じです。

普通に生活しているのに、2kWh/日に届かない日も出てきました。
冷蔵庫の電気泥棒ぶりには、呆れるばかりです。

スマートメーターの値で、節電状況を見ているため、この程度の把握が限界。

電気泥棒を探すきっかけになった違和感。
原因が思い当たらないのに、昨年より深夜時間帯の消費電力が増えている
の原因は、この「埃詰まり」と想像しています。

製氷機の機能を停止してみる

私の感覚では、「給水機の水が無くなれば、自動的に製氷に関わる電力もゼロになっている」なのですが、違うのでしょうか。

設定で機能停止できるので、消費電力が変化するのか見ていきます。

節電+製氷オフを設定した冷蔵庫

設定後、数日観察を続けていますが、判りやすい変化はみられません。

残念ながら、製氷機の停止効果は、体感できないようです。

どれだけ、冷蔵庫が電気泥棒だったか、お伝えします

全てが実推値なのは、勘弁していただくとして、冷蔵庫の消費電力推移とやった内容を表に纏めました。

対策内容対策時期消費電力(実推)算出根拠
無対策9月末の複数日57W67W(消費電力) – 10W(隠れ待機電力)
節電設定10月13日38W69W(消費電力) – 31W(待機電力)
裏側の清掃10月18日27W52W(消費電力) – 25W(待機電力)
製氷機停止10月24日変化なし
筆者による実推

やったことは、冷凍庫と冷蔵庫の温度設定変更、冷蔵庫裏の吸気口らしき場所の清掃。

環境の変化は、外気温の低下。

以上で、冷蔵庫の消費電力は、半減しました
見たことがないほど少ない電気代の請求書に、ニヤニヤが止まりません。