不具合の出ていた2013年製の電子レンジを買い替えました。
9年間の技術進歩を、省エネ性能で比較してみました。
新旧の電子レンジの省エネ性能を比較してみた
新しく買った2022年製造の電子レンジ、年間消費電力は59.9kWh/年。
パナソニック製の単機能電子レンジ(NE-FL222)

不具合が出ていた2013年製造の電子レンジ、年間消費電力は55.6kWh/年。
東芝製スチームオーブンレンジ(ER-KD8)

ん?
進歩じゃなくて、後退?
この年間消費電力の差は、電子レンジを使った時に、すぐに実感できました。
2013年製の電子レンジでは、冷凍ごはん135gを600W×2分でホカホカに温めていました。
2022年製の電子レンジでは、同じ重量、同じ出力でも2分10秒掛かります。
冷凍ごはん160gの場合も同じ、ホカホカに仕上げるのに10秒余計に掛るのです。
率にすると7~8%悪化しています。年間消費電力の差と同じ比率なので分かりやすい。
本当に退化しているのか
ネットで調べると、「マグネトロンの性能が向上していないので、省エネ性能は向上していない」とは書かれています。
しかし、省エネ性能が後退しているとの情報は見当たりません。
そもそも、高機能なスチーム・オーブンレンジ(26L 東芝製)と単機能電子レンジ(22L パナソニック製)を比較することがいけないのでしょうか?
東芝製品の省エネ性能を時系列に追いかける
私が所有していた2013年製のスチームオーブンレンジ(東芝 ER-KD8)は、現在まで毎年のように後継製品が出ています。
このシリーズの、電子レンジ機能の年間消費電力量に注目して、省エネ性能の変化見ていきます。
型名 | 販売開始年 | 電子レンジ機能の年間消費電力量 | 定格消費電力(電子レンジ) | 区分名 |
ER-KD8 | 2012年 | 55.6kWh/年 | 1,390W | D |
ER-LD8 | 2013年 | 55.9kWh/年 | 1,390W | D |
ER-MD8 | 2014年 | 57.0kWh/年 | 1,430W | B |
ER-ND8 | 2015年 | 57.0kWh/年 | 1,430W | B |
ER-PD8 | 2016年 | 57.0kWh/年 | 1,430W | B |
ER-RD8 | 2017年 | 57.0kWh/年 | 1,430W | B |
ER-SD80 | 2018年 | 58.0kWh/年 | 1,430W | B |
ER-TD80 | 2019年 | 58.0kWh/年 | 1,430W | B |
ER-VD80 | 2020年 | 58.0kWh/年 | 1,430W | B |
ER-XD80 | 2022年 | 58.0kWh/年 | 1,430W | B |
区分名のBとDの違いは、ヒーターの露出が有るか無いか。
それにより、省エネ目標が変わります。
時系列に並べると、数年に1回の割合でジワジワ年間消費電力量が増えていることが分かります。
年間消費電力量が3回増えたのに対し、定格消費電力は1回増えただけ。
定格消費電力と年間消費電力量には相関関係は無さそうです。
2013年製のパナソニック単機能電子レンジと比較
次は2013年ころ売られていたパナソニック製の単機能電子レンジの年間消費電力量を調べました。
今回私が買った最新機種と比較してみます。
どちらも、庫内容量は22Lですが、2013年の製品はターンテーブル式。2022年の製品はフラットテーブルと差があります。
型名 | 発売年 | 年間消費電力量 | 定格消費電力 | 高周波出力 | 省エネ達成率 |
NE-EH225 | 2013年 | 58.8kWh/年 | 1.32kW | 850W/700W/500W/150W | 102% |
NE-FL222 | 2022年 | 59.9kWh/年 | 1.4kW | 1000W/600W/500W/150W | 100% |
パナソニックの電子レンジにおいても、
僅かですが年間消費電力量が増えて、省エネ達成率も悪くなっていることが分かります。
こうなると、いくつも疑問が湧いてきます。
・最大出力の違いで年間消費電力量の差が出るのか
・高級品と普及品で年間消費電力量に差が出るのか
・メーカーによる差があるのか
・庫内のサイズにより省エネ性能に差が出るのか
・スチームオーブンレンジと単機能電子レンジで差が出るのか
調べていきましょう。
最大出力1000W vs 900W
2022年に購入可能なパナソニック製の単機能電子レンジで比較します。
どちらも、庫内容量が22L、庫内フラットです。違いは最大出力と操作性。
販売価格は1万円ほど違いますが、比較するには丁度良い差です。
型式 | NE-FL222 | NE-FL100 |
発売年 | 2021年 | 2020年 |
最大出力/通常出力 | 1000W/600W/500W/150W | 900W/600W/500W/150W |
年間消費電力量 | 59.9kWh/年 | 59.9kWh/年 |
定格消費電力 | 1.4kW | 1.36kW |
最大出力の差は定格消費電力の差として現れるが、年間消費電力には関係なさそうです。
値段の違いも、単機能電子レンジ同士の比較では、関係なさそうに見えます。
さらに追加調査として、価格COMで最安値のハイアールJM-17J-50と比較します。
比較対象のハイアール製品は、庫内容量17L、ターンテーブル式、最大出力700Wと様々な点で差がありますが、私が買ったパナソニック製の単機能電子レンジの1/3の価格。
メーカー 型名 | パナソニック NE-FL222 | ハイアール JM-17J-50 |
出力 | 1000W/600W/500W/150W | 700W/500W/200W |
年間消費電力量 | 59.9kWh/年 | 59.9kWh/年 |
定格消費電力 | 1400W | 1150W |
販売開始 | 2021年 | 2021年 |
値段の差は3倍あっても、年間消費電力量は同じ。
まあ、よく考えるとハイアールは三洋の白物家電を引き継いだ会社。
パナソニックは、三洋電機を吸収合併した会社という関係で、似たもの同士の比較なのかも。
メーカーによる消費電力量の差を調べてみた
電子レンジを買う時、実物を見るため訪れた家電量販店(コジマ)。
店員さんが、無茶苦茶オススメしてきたのが、東芝とシャープ製品。
「温める能力が違う」というのだが、オススメされた電子レンジは予算や庫内容量の関係で断念。
比較してみましょう。
店員さんがオススメしてきた東芝の単機能電子レンジはER-XS23。
プレミアムモデルと言われる最上級品。私の買った電子レンジの2倍の価格です。
単機能電子レンジには珍しい、赤外線センサーで出来上がりを監視する機種。
シャープは普及価格帯の単機能電子レンジRE-TM18がありました。
パナソニック NE-FL222 | 東芝 ER-XS23 | シャープ RE-TM18 | |
年間消費電力量 | 59.9kWh | 60.1kWh | 58.5kWh |
定格消費電力 | 1400W | 1400W | 970W |
最大出力 | 1000W | 1000W | 520W |
主な仕様 | 庫内容量22L フラット式 蒸気センサー | 庫内容量23L フラット式 赤外線センサー | 庫内容量18L ターンテーブル式 蒸気センサー |
スペックから想像すると、手動で時間設定した加熱ならシャープが一番の省エネ。
自動調理なら、赤外線センサーを使った東芝に軍配が上がりそうです。
パナソニックのスチームオーブンレンジと比較する
東芝のスチームオーブンレンジとの比較では、僅かですがスチームオーブンレンジの方が省エネ性能が優れていました。
では、パナソニックはどうなのでしょうか。
ビストロ・シリーズの中から、庫内容量25Lと30Lの2機種を選び電子レンジ機能の比較していきます。
単機能電子レンジ NE-FL222 | スチームオーブンレンジ NE-BS6A | スチームオーブンレンジ NE-UBS10A | |
年間消費電力量 | 59.9kWh | 57.3kWh | 58.0kWh |
定格消費電力 | 1400W | 1420W | 1400W |
最大出力 | 1000W | 1000W | 1000W |
主な特徴 | 庫内容量22L 蒸気センサー | 庫内容量25L 赤外線センサー | 庫内容量30L 赤外線センサー |
25Lのスチームオーブンレンジの省エネ性能の高さ(約4.5%の節電)に目を奪われます。
この機種を購入していたら調理時間の短さ、省エネ性では満足していたかもしれません。
ただ、それを手に入れるための価格は単機能電子レンジの4倍以上。
いや、9年前の東芝製スチームオーブンレンジよりも省エネ性能が劣っているので、残念に思うかも。
単機能電子レンジの省エネ性能(まとめ)
今回調査した電子レンジでは最大4.9%の年間消費電力量の差がありました。
これだけの差がつくのは、やる気と価格の問題。
更に気になるのは、年々、電子レンジの消費電力が増えているという事実。
理由は分かりませんが、
電子レンジは「省エネ性能はセールスポイントにならない」ということでしょうか。
単機能電子レンジでもプレミアム価格帯の製品は、省エネ性能を追求して欲しいものです。