秋のお彼岸でお墓参りに行った帰りに、見つけた神社に、ぷらりと立ち寄ってきました。
いつもなら、バスで通り過ぎるだけなので、そこに神社があることすら気付いてませんでした。
連休で混雑するバスと道路を避けようと、霊園から高尾駅まで歩いていく選択をしたのは大正解。
木々に囲まれた、素敵な神社に出会えるとは想像していませんでした。
一の鳥居と参道
神社の入り口は、赤い鳥居でした。
この先に長い参道があります。近隣住民の生活道路になっているようで、クルマも通る参道でした。
![梶原八幡神社 一の鳥居](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125345.jpg)
「郷社 八幡神社」と書かれた石柱。
明治6年に「郷社」になったそうです。
「梶原八幡神社」または「元八王子八幡神社」と呼ばれているらしいです。
御朱印には、「元八王子八幡神社」と記載されているので、宮司さんは「元八王子八幡神社」派なんでしょうね。
![八幡神社 石柱](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125340.jpg)
郷社って何?
明治になって定められた神社の社格です。戦後廃止されました。
官社、諸社、無格社に分けられ。諸社の中の格付けは県社、郷社、村社の順だそうです。
尚、この格付けは、国家による待遇の差を表したものであり、神社の優劣ではありません。
御神木 梶原杉跡
今は石碑と切り株しか残っていませんが、杉の大木があったようです。
![御神木 樫原杉跡](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125522.jpg)
樹齢800年、都内随一の杉の大木と言われていましたが、昭和47年に樹勢が衰え、伐採に至ったとのこと。
新編武蔵風土記稿(江戸時代後期の発刊)にも、この大杉について書かれています。そこには、梶原杉と呼ばれる杉の木が2本あり、社殿の脇にあった1本は既に枯れていたとあります。
これだけの大木だったので、御神木そのものを信仰の対象にされた方もいたようです。
この神社を勧請した梶原平三景時が植えたとされる杉なので、「梶原杉」。
梶原杉で有名だった故に、「梶原八幡神社」と呼ばれてたのかもしれません。
社殿へと続く階段
階段下の木が、真っすぐ上に伸びていて、まるで鳥居の柱の部分のような感じです。
参道が長かったこともあって、二の鳥居があるものだと思い込んでました。
自然に溢れた神社のようです。
![梶原八幡神社への階段](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125609.jpg)
彼岸花が咲いていました。
赤い彼岸花の花言葉は、「また会う日を楽しみに」だそうです。良い花ことばです。
![階段脇に咲く彼岸花](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125632.jpg)
来年も、この場所で花を咲かせているんだろうな...
狛犬と灯篭
左側の狛犬は、玉取り。(運気が転がる願い)
台座に刻まれた年号は大正でした。
![梶原八幡神社 狛犬(左)](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125733.jpg)
右側の狛犬は、子取り。(子孫繁栄の願い)
台座には、家内安全って入ってました(左右どっちの狛犬だった定かじゃないですが...)
![梶原八幡神社 狛犬(右)](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125744.jpg)
神社にある石造りの狛犬は、江戸時代以降のものだそうです。
その時代より前の石造りの狛犬は、狛犬ではなく中国獅子だったりするそうです。
さらに時代を遡ると石ではなく、木製や金属製になるそうです。
石の加工技術の関係でしょうか...
大切な灯篭なのでしょうか、参道とは少し違う場所に一基だけ置かれています。
周りはフェンスで囲われています。「登るな」の看板が出てました。
元気すぎるお子さん対策なのでしょうか。
![梶原八幡神社 灯篭](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125757.jpg)
梶原八幡神社 拝殿と本殿
こんなに立派な社殿がある神社と思わずやってきたので、もの凄く感動しました。
社殿の背景にある木々と、朱色の社殿や紫の布のコントラストが凄く良かったです。
![](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125907.jpg)
拝殿のところにある彫刻も見事です。
社殿が新しそうですが、最近、改築したのでしょうか。
![梶原八幡神社 本殿](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_130525.jpg)
由緒書きの看板が出ています。
失礼ながら、この由緒書きの看板分かり難いです。鎌倉の鶴岡八幡宮の創建から物語が始まるのは分かるのですが...
![八幡神社 由緒書き](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_125926.jpg)
梶原八幡神社の御由緒を紹介します。
この場所は、江戸時代には、元八王子村八幡宿と呼ばれていました。
この地に創建されたのは建久二年(1191年)。
鎌倉にある鶴岡八幡宮の宮殿造営が終わり、正遷座の際に、源頼朝公の家臣 梶原平三景時が、古神体を賜り建久二年(1191年)六月に奉祀した。
境内には鐘楼(釣鐘堂)や阿弥陀堂があったという。別当は西明寺。
当時は八幡社といい、村の鎮守だった。
現在の例祭は4月第3日曜日ですが、新編武蔵風土記稿が書かれた頃は8月15日でした。
梶原八幡神社の境内社
先ほどの由緒書きによれば、摂社・末社は以下の通り。
五社宮、榛名社、八坂社、日吉山王社
五連タイプの祠(五社宮)
これが五社宮なのでしょうか?
私には、何の神様をお祀りされているのか、さっぱり分かりません。
足元に狛狐が1対置いてあるので、どれかが稲荷社なのは、想像が付きました。
![梶原八幡神社 五社宮](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_130038.jpg)
「新編武蔵風土記稿」によれば、本殿の西側に、4社合殿社があったとあります。
4社は、天満宮、牛頭天王、稲荷社、愛宕の4座を合祀。
200年ほどの間に、ひとつ増えたようです。
石造りの祠が5つ
昔使っていた祠を捨てずに並べているって感じでしょうか。
見えている段ボールの箱はゴミのようです。
![梶原八幡神社 境内社](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_130100.jpg)
一番左の端にあった祠(八坂社)
ここからは、想像力で勝負です。
この祠は、榛名社、八坂社、日吉山王社のどれ?
榛名社と日吉山王社は、山絡み(榛名山、比叡山)と読んで、平地にあるのは「八坂社」と推測。
![梶原八幡神社 八坂社](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_130111.jpg)
小高くなったところにも社殿が2つあります(榛名社と日吉山王社)
本殿右側の小高くなった山の上に祠がふたつ見えます。
このふたつの祠は、榛名社と日吉山王社と推測し、何か手掛かりが無いか探すことにします。
急な斜面ですが登っていきます。
![梶原八幡神社 境内社](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_130257.jpg)
参道を登り切ったところに、やや小ぶりな祠。
見事なくらい何の手掛かりもありません。残念。
まあ、社務所で聞けば一発で判るんだけど...
![梶原八幡神社 境内社](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_130346.jpg)
右側にあった祠。
灯篭などがありましたが、倒壊しているもののもあって...ブヨのような虫も凄くて急いで退散
帰宅後、写真を確認していると、この祠の横にも、小さな石造りの祠がありました。
![梶原八幡神社 境内社](https://fjm-explorer.com/wp-content/uploads/2020/09/IMG_20200922_130423.jpg)
急斜面を降りている途中で、足元で何かが素早く移動しているのを発見。
あやうく、階段から落ちそうになるくらいビックリさせていただきました。
その正体は、トカゲ。本当に、蛇じゃなくて良かった。
自然豊かな場所ということをすっかり忘れていました。
結局、帰宅後にネットで調べると、境内の摂社・末社をそれぞれ特定している方がいたので、参考にさせていただくことにしました。(写真のキャプション部分に確定したものを記載しています)
アクセス、観光
梶原八幡神社の遷座地:東京都八王子市元八王子3丁目2284
正式名称:八幡神社
別名:元八王子八幡神社、梶原八幡神社
社務所:60mほど離れた場所にあります(境内に案内がでてます)。
アクセス(交通機関):
京王線またはJR中央線高尾駅北口からバスまたは徒歩。
宮の前バス停下車が便利ですが、駅から徒歩なら20分くらいです。
自然あふれる場所なので気持ち良く歩けますが、アップダウンのある道なので時間以上に足にきます。
周辺観光をするなら:
八王子城跡や八王子神社があります。
山道を登ることになるので、高尾山に登る程度の服装や装備、覚悟が必要です。(蜂とマムシに注意)
元八王子八幡神社から登山口まで徒歩で20分強。登山口から山頂まで40分です。
見学時間を含めた所用時間は3時間~4時間程度です。