梶原八幡神社(元八王子八幡神社)は自然にあふれる素敵な神社でした。

秋のお彼岸でお墓参りに行った帰りに、見つけた神社に、ぷらりと立ち寄ってきました。

いつもなら、バスで通り過ぎるだけなので、そこに神社があることすら気付いてませんでした。
連休で混雑するバスと道路を避けようと、霊園から高尾駅まで歩いていく選択をしたのは大正解。

木々に囲まれた、素敵な神社に出会えるとは想像していませんでした。

一の鳥居と参道

神社の入り口は、赤い鳥居でした。
この先に長い参道があります。近隣住民の生活道路になっているようで、クルマも通る参道でした。

梶原八幡神社 一の鳥居
梶原八幡神社 一の鳥居

「郷社 八幡神社」と書かれた石柱。
明治6年に「郷社」になったそうです。

梶原八幡神社」または「元八王子八幡神社」と呼ばれているらしいです。
御朱印には、「元八王子八幡神社」と記載されているので、宮司さんは「元八王子八幡神社」派なんでしょうね。

八幡神社 石柱
八幡神社 石柱

郷社って何?
明治になって定められた神社の社格です。戦後廃止されました。
官社、諸社、無格社に分けられ。諸社の中の格付けは県社、郷社、村社の順だそうです。
尚、この格付けは、国家による待遇の差を表したものであり、神社の優劣ではありません。

御神木 梶原杉跡

今は石碑と切り株しか残っていませんが、杉の大木があったようです。

御神木 樫原杉跡
御神木 樫原杉跡

樹齢800年、都内随一の杉の大木と言われていましたが、昭和47年に樹勢が衰え、伐採に至ったとのこと。
新編武蔵風土記稿(江戸時代後期の発刊)にも、この大杉について書かれています。そこには、梶原杉と呼ばれる杉の木が2本あり、社殿の脇にあった1本は既に枯れていたとあります。

これだけの大木だったので、御神木そのものを信仰の対象にされた方もいたようです。

この神社を勧請した梶原平三景時が植えたとされる杉なので、「梶原杉」。
梶原杉で有名だった故に、「梶原八幡神社」と呼ばれてたのかもしれません。

社殿へと続く階段

階段下の木が、真っすぐ上に伸びていて、まるで鳥居の柱の部分のような感じです。
参道が長かったこともあって、二の鳥居があるものだと思い込んでました。

自然に溢れた神社のようです。

梶原八幡神社への階段
梶原八幡神社への階段

彼岸花が咲いていました。

赤い彼岸花の花言葉は、「また会う日を楽しみに」だそうです。良い花ことばです。

階段脇に咲く彼岸花
階段脇に咲く彼岸花

来年も、この場所で花を咲かせているんだろうな...

狛犬と灯篭

左側の狛犬は、玉取り。(運気が転がる願い)
台座に刻まれた年号は大正でした。

梶原八幡神社 狛犬(左)
梶原八幡神社 狛犬(左)

右側の狛犬は、子取り。(子孫繁栄の願い)
台座には、家内安全って入ってました(左右どっちの狛犬だった定かじゃないですが...)

梶原八幡神社 狛犬(右)
梶原八幡神社 狛犬(右)

神社にある石造りの狛犬は、江戸時代以降のものだそうです。
その時代より前の石造りの狛犬は、狛犬ではなく中国獅子だったりするそうです。
さらに時代を遡ると石ではなく、木製や金属製になるそうです。
石の加工技術の関係でしょうか...

大切な灯篭なのでしょうか、参道とは少し違う場所に一基だけ置かれています。
周りはフェンスで囲われています。「登るな」の看板が出てました。
元気すぎるお子さん対策なのでしょうか。

梶原八幡神社 灯篭
梶原八幡神社 灯篭

梶原八幡神社 拝殿と本殿

こんなに立派な社殿がある神社と思わずやってきたので、もの凄く感動しました。
社殿の背景にある木々と、朱色の社殿や紫の布のコントラストが凄く良かったです。

梶原八幡神社 拝殿

拝殿のところにある彫刻も見事です。
社殿が新しそうですが、最近、改築したのでしょうか。

梶原八幡神社 本殿
梶原八幡神社 本殿

由緒書きの看板が出ています。
失礼ながら、この由緒書きの看板分かり難いです。鎌倉の鶴岡八幡宮の創建から物語が始まるのは分かるのですが...

八幡神社 由緒書き
八幡神社 由緒書き

梶原八幡神社の御由緒を紹介します。

この場所は、江戸時代には、元八王子村八幡宿と呼ばれていました。
この地に創建されたのは建久二年(1191年)。
鎌倉にある鶴岡八幡宮の宮殿造営が終わり、正遷座の際に、源頼朝公の家臣 梶原平三景時が、古神体を賜り建久二年(1191年)六月に奉祀した。
境内には鐘楼(釣鐘堂)や阿弥陀堂があったという。別当は西明寺。
当時は八幡社といい、村の鎮守だった。
現在の例祭は4月第3日曜日ですが、新編武蔵風土記稿が書かれた頃は8月15日でした。

梶原八幡神社の境内社

先ほどの由緒書きによれば、摂社・末社は以下の通り。

五社宮、榛名社、八坂社、日吉山王社

五連タイプの祠(五社宮)

これが五社宮なのでしょうか?
私には、何の神様をお祀りされているのか、さっぱり分かりません。
足元に狛狐が1対置いてあるので、どれかが稲荷社なのは、想像が付きました。

梶原八幡神社 五社宮
梶原八幡神社 五社宮

「新編武蔵風土記稿」によれば、本殿の西側に、4社合殿社があったとあります。
4社は、天満宮、牛頭天王、稲荷社、愛宕の4座を合祀。

200年ほどの間に、ひとつ増えたようです。

石造りの祠が5つ

昔使っていた祠を捨てずに並べているって感じでしょうか。
見えている段ボールの箱はゴミのようです。

梶原八幡神社 境内社
梶原八幡神社 境内社

一番左の端にあった祠(八坂社)

ここからは、想像力で勝負です。
この祠は、榛名社、八坂社、日吉山王社のどれ?

榛名社と日吉山王社は、山絡み(榛名山、比叡山)と読んで、平地にあるのは「八坂社」と推測。

梶原八幡神社 八坂社
梶原八幡神社 八坂社

小高くなったところにも社殿が2つあります(榛名社と日吉山王社)

本殿右側の小高くなった山の上に祠がふたつ見えます。
このふたつの祠は、榛名社と日吉山王社と推測し、何か手掛かりが無いか探すことにします。

急な斜面ですが登っていきます。

梶原八幡神社 境内社
梶原八幡神社 境内社

参道を登り切ったところに、やや小ぶりな祠。

見事なくらい何の手掛かりもありません。残念。
まあ、社務所で聞けば一発で判るんだけど...

梶原八幡神社 境内社
梶原八幡神社 榛名神社

右側にあった祠。
灯篭などがありましたが、倒壊しているもののもあって...ブヨのような虫も凄くて急いで退散

帰宅後、写真を確認していると、この祠の横にも、小さな石造りの祠がありました。

梶原八幡神社 境内社
梶原八幡神社 日吉山王社

急斜面を降りている途中で、足元で何かが素早く移動しているのを発見。

あやうく、階段から落ちそうになるくらいビックリさせていただきました。

その正体は、トカゲ。本当に、蛇じゃなくて良かった。

自然豊かな場所ということをすっかり忘れていました。

結局、帰宅後にネットで調べると、境内の摂社・末社をそれぞれ特定している方がいたので、参考にさせていただくことにしました。(写真のキャプション部分に確定したものを記載しています)

アクセス、観光

梶原八幡神社の遷座地:東京都八王子市元八王子3丁目2284

正式名称:八幡神社
別名:元八王子八幡神社、梶原八幡神社

社務所:60mほど離れた場所にあります(境内に案内がでてます)。

アクセス(交通機関):
京王線またはJR中央線高尾駅北口からバスまたは徒歩。
宮の前バス停下車が便利ですが、駅から徒歩なら20分くらいです。
自然あふれる場所なので気持ち良く歩けますが、アップダウンのある道なので時間以上に足にきます。

周辺観光をするなら:
八王子城跡や八王子神社があります。
山道を登ることになるので、高尾山に登る程度の服装や装備、覚悟が必要です。(蜂とマムシに注意)
元八王子八幡神社から登山口まで徒歩で20分強。登山口から山頂まで40分です。
見学時間を含めた所用時間は3時間~4時間程度です。