小松川神社の所在地:東京都江戸川区小松川3丁目1−2
元佐倉道の街道沿いにある小松川神社には庚申塔が2基あります。
小松川神社には、いわゆる神社に祀られるものと、お寺に祀られるものが同居しています。
境内に掲載された江戸川区教育委員会の看板によれば、このあたりにあった西光寺(明治7年に廃寺)の境内に稲荷社があり、そこに分霊により小松川神社を創建。更に平成9年に市街化地域再開発で現在地に遷座したと言います。
境内にある地蔵菩薩や庚申塔は、元々は西光寺にあったものだそうです。
これらの石造物は、本殿の裏に纏めて並んでいます。
庚申塔を拝見させていただきます
ここに置かれている石造物は、全て布(前垂れ)が巻かれています。
大切にされているのですが、「庚申塔好き」からすると像容が確認できないもどかしさがあります。
2基の庚申塔が並んでいます。巻かれている布は、いわゆる柄物。実にお洒落な庚申塔なのです。
左側の庚申塔
大きな布で覆われているので手の様子が分かりません。
ネットで調べると、小さな布が掛けられていた時代もあったようで、青面金剛が合掌している写真が見つかりました。(しかも、布を捲って撮られたサービスショットも)
合掌する青面金剛が邪鬼を踏みつける像容です。邪鬼の下に三猿も描かれていました。
次に、刻まれた文字を確認していきます。前垂れで読めない字が多数...
上部に「●申供養」、右側に「宝永四丁亥年 江」、左側に「正月吉日 朝田」
ネットの情報で補完すると「庚申供養」「宝永四丁亥年 江戸通油町」「正月吉日 朝田庄次郎」
宝永4年(1707年)の庚申塔です。
右側の庚申塔は、「小松川神社所在の青面金剛立像庚申塔」といいます。
こちらの庚申塔は、江戸川区登録有形民俗文化財になっています。
「小松川神社所在の青面金剛立像庚申塔」という名称で登録されています。
像容を確認していきます。
青面金剛が描かれていますが、手がどうなっているか確認できません。
胸の辺りに宝剣らしきものが欠損したようになっています。
第1手はショケラと宝剣なのでしょうか、合掌なのでしょうか。
日月と種字が上部に確認できます。
2童子は第2手の横あたりにありました。
四夜叉が描かれているようですが、2体は布に隠れています。
踏みつけられた邪鬼の下に三猿もいました。
文字を確認していきます。
「延亨元甲子」「九月日」
延亨元年(1744年)の庚申塔でした。
延亨元年の庚申塔(右側面)
右側面の文字は
「庚申供養」「施主 八丁堀 和泉屋 三国左江門」「新町中 稲荷山 西光寺」(赤字は推定)
「江戸川区の文化財 6」(1989年発行)には、この庚申塔は、西小松川村字新町のひとびとが造立と記載されています。
延亨元年の庚申塔(左側面)
左側面の文字は、
「奉御供料錢五貫文..之也」(布に隠れて読めません)
掲示された看板の文面で補完すると「為御供料錢五貫文永代附置之也」
ところで、銭五貫文は、今のお金でいくらくらいなのでしょうか。
ネットで調べてみると、銭五貫文=金1両(小判)と出てきました。
永代供養としては良心的な価格ですね。
小松川神社へのアクセス
都営新宿線 東大島駅から徒歩11分 (850m)