北小岩にある宝林寺の庚申塔

宝林寺の所在地:東京都江戸川区北小岩3丁目23−11

京成本線 江戸川駅にほど近い宝林寺には、庚申塔が3基あります。

宝林寺は昨年(2020年)建て替え工事が行われていましたが、今回(2021年4月)、綺麗な本堂に生まれ変わっていました。

宝林寺 本堂
宝林寺 本堂

宝林寺は、真言宗豊山派のお寺さんで、愛宕山 地蔵院と号します。
慶長12年(1607年)に没した大秀法印によって開山されたといいます。

庚申塔は、宝林寺の山門の外。生活道路を挟んだ向かい側の石造物が並ぶ一角にあります。

宝林寺の石造物
宝林寺の石造物

文字塔「庚申塔」

左端にある、「庚申塔」と刻まれた石造物から見ていきます。

駒型の石の正面に「庚申塔」と刻まれています。それ以外の装飾や文字はありません。
側面を見ていきます。

宝林寺の文字塔「庚申塔」
宝林寺の文字塔「庚申塔」

右側面に「文化元甲子」、左側面に「十月日建之」。文化元年(1804年)の庚申塔です。
右側面には、他にも「伊田御●所」、奉納者氏名が刻まれています。

宝林寺がある北小岩3丁目は、旧 伊予田村(伊豫田村)。目視では「衆」の字に見えましたが「象」が正しいのでしょうか。
ネットで検索すると、2014年撮影の写真がヒット。文字が鮮明に映っています。更に文字起こしもされていました。
そこには「伊田御番所西村講中」と記載があります。「興」も違うようなと思いつつ、「西」に見える文字は、実は「両」ではないのかと...。つまり「伊象田 御番所 両村講中」が正解なのかな。

隣の地蔵菩薩も庚申塔です

文字塔「庚申塔」の右隣にある地蔵菩薩も庚申塔です。
石造物に刻まれた文字を読まないと、庚申塔と判別できないタイプ。
この庚申塔は、江戸川区の登録有形民俗文化財です。

宝林寺の庚申塔「地蔵菩薩」
宝林寺の庚申塔「地蔵菩薩」

地蔵菩薩像の右側に刻まれた文字に注目します。
「奉造立庚申構人●●」(●は私には「教所」のように見えますが、手元の資料では「数一所」)

地蔵菩薩像の右側に刻まれた文字
地蔵菩薩像の右側に刻まれた文字

地蔵菩薩像の左側に紀年銘が入っていますが、摩滅で読めなくなった文字が多く、判読に苦労します。
判読できたのは「寛文十庚戌●九月●日」
寛文10年(1670年)の庚申塔でした。

青面金剛像の庚申塔

六地蔵の右側にも、青面金剛像の庚申塔があります。

六臂の青面金剛が邪鬼を踏みつけている姿が描かれています。
ショケラを手にし、三猿も描かれています。

宝林寺の庚申塔「青面金剛像」
宝林寺の庚申塔「青面金剛像」

板面には文字も確認できます。紀年銘は判読しずらく、コンディションが良くありません。
青面金剛像の上部に「奉 供 養」
右側に「貞享三丙寅●」、左側に「十二」「」(赤字は判読不能や推定)

こちらの青面金剛像は、貞享3年(1686年)の庚申塔でした。

青面金剛像の庚申塔が登場しだす奔りの年代なのに、ショケラを手に持つ姿なのは意外に感じました。
合掌が基本で、そこから時代とともに、様々なバリエーションが出てきたと思っていたので...

宝林寺へのアクセス

京成本線 江戸川駅から徒歩2分 (140m)

宝林寺に立ち寄る、おススメの散歩コース