東小岩にある万福寺の庚申塔と筆子塚

万福寺の所在地:東京都江戸川区東小岩2丁目2−4

東小岩にある万福寺には、庚申塔と筆子塚があります。

万福寺は、真言宗豊山派のお寺さんです。天文5年(1536年)の開山で、五社山 明寿院 萬福寺と号します。
江戸川区教育委員会設置の看板には、小岩出身の第44代横綱栃錦の菩提寺とあります。

万福寺
万福寺

庚申塔は、山門を入って直ぐ左手にあります。山門の右手には筆子塚もあるので、セットで見ていきましょう。まずは、正面にある本堂で手を合わせます。

庚申塔

庚申塔は、草木に囲まれた場所にあります。
草木が邪魔して、庚申塔に近づけなかったり、側面や下部が見えません。じっくり観察するなら、冬場の訪問が良いかもしれません。

万福寺山門を入ってすぐ左
万福寺山門を入ってすぐ左

庚申塔には、六臂の青面金剛が邪鬼を踏みつけている様子が描かれています。
青面金剛像の上部には、太陽と三日月が描かれていました。(「日月」といいます)

万福寺の庚申塔
万福寺の庚申塔

写真を撮る角度を変えて、庚申塔の下部を草の隙間から狙います。
青面金剛像のある庚申塔でよく見かける三猿も確認できました。

庚申塔の正面部分には、文字は無いようです。
側面を見ていきます。

庚申塔の左側面に寄ってみる

木の枝が邪魔をしますが、左側面に紀年銘が入っています。
目視で確認できるのは「亨保五庚子十」(は枝が邪魔をして確認できない文字)
亨保で、5が付く年で、干支が「庚子」は亨保5年(1720年)。

万福寺の庚申塔(左側面)
万福寺の庚申塔(左側面)

亨保5年(1720年)の庚申塔と分かりましたが、読めなかった文字が気になります。
ネットの力を借りて調べてみると、2014年に撮影された写真を発見。草木が小さく側面がはっきり読み取れます。そこから、「享保五庚子十月吉日」と判明。

庚申塔の右側面は、現在は草木の陰になっている事、劣化が進んでいることなどから文字の判読が出来ません。
しかし、2014年撮影の写真には、くっきり文字が写っていました。(撮影者に感謝します)
写真に写っていた文字は「奉造立大青面金剛一軀」

筆子塚

江戸川区登録有形文化財の筆子塚です。
江戸川区教育委員会設置の看板によると、法印中岳筆子塚と法印政寛筆子塚。
江戸時代、住職の中岳と政覚は寺子屋師匠として近村子弟の教育にあたったそうです。

同看板には、『明治15年(1882)に区内で2番目の公立小学校「明物小学校」(現在の小岩小学校の前身)が本堂を借りて開校したので区登録史跡となっています』とあります。

下小岩村の子供たちは、ここで学んだのかと思うと、本堂にも興味が湧いてきます。

万福寺の庚申塔と筆子塚(まとめ)

万福寺の庚申塔は、亨保5年(1720年)の青面金剛像でした。

江戸川区史によれば、
万福寺は江戸時代、現在の小岩神社(当時は五社神明社)の別当を務めていたと言います。
小岩神社も現在の場所ではなく、万福寺の境内にあったそうで、当時の石造りの小祠が残っているそうです。

庚申塔があるこの地区は、旧 下小岩村入谷といわれた場所です。
「入谷」は一般的には、地形に由来する名前ですが、下小岩の入谷は異なるようです。
「入谷」は「入矢」や「入屋」とも書かれていて、「又入屋敷」のことらしいです。(江戸川区史より)

万福寺へのアクセス

JR総武線 小岩駅から徒歩18分 (1.4km)
JR総武線 小岩駅から江戸川清掃工場行きバス。南小岩3丁目バス停下車、徒歩4分 (300m)

万福寺に立ち寄る、おススメの散歩コース